介護休業給付の概要

雇用保険の介護休業給付は、被保険者が要介護状態になった家族を介護するために休業し、休業期間中に休業開始前の賃金の8割以上の賃金が支払われていないなどの一定の要件を満たしている場合に受けることができます。

 対象となる家族は、配偶者、父母、子、配偶者の父母などで、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、

2週間以上にわたり常時介護(歩行、排泄、食事等の日常生活)を必要とする状態であることが条件になります。

受けられるのは、対象家族の同一の要介護状態につき1回(*)の介護休業期間(最長3ヵ月)についてですが、同一の対象家族について要介護状態が異なることにより再び取得した介護休業についても対象となります。

ただし、この場合は、同一家族について受給した介護休業給付金の支給日数は通算して93日が限度となります。

 () 平成291月からは、対象家族について同一の要介護状態であっても3回まで分けて介護休業ができるようになります。

 

 

給付率の引き上げ

最近では、家族の介護により離職する人が増加傾向にあるため、その対策として、雇用保険法の改正により介護休業給付の拡充が行われます。

介護休業給付の給付率は、現在は休業1日につき休業開始時の賃金日額の40%ですが、平成2881日から、給付率が67%に引き上げられます。

 実際の支給額は、1ヵ月ごとに区切られた支給対象期間で算定されますが、各支給対象期間中の賃金の額と賃金日額の40%で算定される給付額との合計額が休業開始時の賃金月額の80%を超えなければ全額が支給され、80%を超えるときには、その超えた額が減額されて支給されます。

 8月1日からは給付率が67%になりますので、休業期間中に賃金が支払われる場合には、賃金と賃金日額の67%で算定される給付額との合計額が休業開始時の賃金月額の80%を超えてしまい、実際に支払われる給付金が、減額されることもあります。

 

 

賃金日額の上限の変更

給付金の算定に使われる「賃金日額」は、原則として介護休業を開始する前6ヵ月の賃金を180で除して算出した額です。離職後に受ける失業給付などにかかる賃金日額には、年齢区分に応じた上限額が設けられていますが、介護休業給付にかかる賃金日額は、この年齢区分に応じた上限額のうち、「30歳以上45歳未満」の額(現在は14,210円)がすべての年齢の被保険者に適用されています。

平成2881日からは「45歳以上60歳未満」の額(現在は15,620円)が適用されます。

 なお、この賃金日額の上限額は、毎年81日に「毎月勤労統計調査」の平均定期給与額の増減に基づき見直しが行われていますので、今回も81日に改正される予定です。