◆本腰を入れ始めた官民

本年5月、厚生労働省に「トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」が設置されました。
 

この協議会の規約によると、「トラック運送事業者、荷主、行政等の関係者が一体となり、トラック運送業における取引環境の改善及び長時間労働の抑制を実現するための具体的な環境整備等を図る」ことが目的だそうです。

 

◆労基法の改正を見据えて

現在国会で審議されている「労働基準法等の一部を改正する法律案」では、中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金を見直すことが盛り込まれています。
 

現在、月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)が中小企業については適用が猶予されていますが、この猶予措置を廃止する内容です。廃止時期(予定)は平成3141日ですが、トラック運送業者にとっては特に影響が大きいと言えます。
 

法改正への対応のため、国・行政は今後平成30年度にかけて、企業の実態調査や労働時間縮減のための助成事業、長時間労働改善ガイドラインの策定と助成事業などを行うことを協議会で検討していくようです。
 

◆労働時間の状況

労働時間の最近の状況をみると、パート労働者の比率の上昇により、年間総実労働時間は減少傾向で推移しています。また、週の労働時間でみると、60時間以上の人の割合は全体では近年低下傾向で推移し、1割弱となっていますが、30代男性では17.0%と、以前より低下したものの高水準で推移している状況です。
 

これをトラック運送業界についてみると、特に中小企業では、時間外労働が60時間超となる労働者の割合が非常に多い状況にあります。また、長時間労働に伴う労災(脳・心臓疾患、精神障害)の件数も多くなっています。ドライバーが運転中に意識を失ったりすれば、他者を巻き込んだ死亡事故等に直結し、会社の存続に関わる事態となります。

 

◆今から始める賃金見直し

トラック運送業界には、改善基準告示や行政による監督指導への対応などもありますが、労働時間の変化に伴う賃金体系の見直しにはそれなりの時間がかかります。
 

関連助成金等を活用しながら、「所定外労働時間の削減」や「年次有給休暇の取得促進」等の必要な措置を講じていく必要があります。