◆個別労使紛争の解決手段

解雇や労働条件の引下げといった問題をめぐり、企業と個々の労働者との間で生じる紛争の主な解決手段として、「労働局によるあっせん」「労働審判」「民事訴訟」が挙げられます。
 

各制度の特徴は、以下の通りです。
 

・「労働局によるあっせん」:弁護士、大学教授、社会保険労務士などの労働問題の専門家により組織された紛争調整委員会が、当事者双方の主張の要点を確かめます。双方から求められた場合には、両者に対して、事案に応じた具体的なあっせん案を提示します。(都道府県労働局によるあっせんの場合。この他、都道府県労働委員会・労政主管部局等でも個別労働関係紛争のあっせんを実施しています)
 

・「労働審判」:労働審判官(裁判官)1名と労働関係の専門的な知識と経験を有する労働審判員2名で組織された労働審判委員会が、原則として3回以内の期日で審理し、適宜調停を試みます。調停による解決に至らない場合には、事案の実情に即した柔軟な解決を図るための労働審判を行います。
 

・「民事訴訟」:裁判官が、法廷で、双方の言い分を聴いたり、証拠を調べたりして、最終的に判決によって紛争の解決を図る手続きです。訴訟の途中で話合いにより解決(和解)することもできます。

 

◆最近の傾向

先日、厚生労働省が「予見可能性の高い紛争解決システムの構築」に関する調査結果を公表し、上記の3つの解決手段を利用した場合、「会社が従業員に金銭を支払って解決した事案」が9割を超えたことがわかりました。
 

内閣府の規制改革会議でも、裁判で不当解雇と認められた場合に労働者が申し出れば金銭補償で解決できる制度について、年内にも導入の検討を始めると発表しています。

 

◆「解決状況確認ツール」とは?

そんな折、厚生労働省は、個別データに基づいて条件を設定すると労働紛争の解決状況を確認することができるサイトを開設しました。
 

具体的には、(1)事案の内容(普通解雇、整理解雇、労働条件引下げ等)、(2)残業代請求の有無、(3)労働者の性別、(4)雇用形態、(5)勤続年数、(6)役職、(7)月額賃金、(8)企業規模の条件を設定すると、その条件に合った事件の解決方法(あっせん、労働審判、和解)や利用期間、金銭解決の場合であれば解決金を調べることができます。