事業主には、労働者に対して数種類の健康診断を行うことが義務づけられています。
現在、厚労省内で、定期健康診断の省略できる検査項目が追加される流れになっていますので、今回は「事業主が行う健康診断」についてご紹介しつつ、そのことについてご報告します。
◆ 事業主が行う健康診断(義務)とは?
一般の健康診断は、実施時期と項目について労働安全衛生法で定められています。
★ 主な実施時期は、
原則的に【雇い入れ時】、【1年ごとに1回】、
ただし、特定の業務(深夜業を含む場合など)に従事している労働者には、【配置替えの際】、【半年以内に1回】、
海外派遣者については、【派遣前】と【帰国後】に行わなければなりません。
★ 項目は、
雇い入れ時の健康診断の検査項目は、以下11項目です。定期健康診断はこれにプラスして喀痰(かくたん)検査をします。
既往歴及び業務歴の調査
自覚症状及び他覚症状の有無の検査
身長、体重、胸囲、視力及び聴力の検査
胸部エックス線の検査
血圧の測定
貧血検査
肝機能検査
血中脂質検査
血糖検査
尿検査
心電図検査
◆ 省略できる場合とは?
今回、定期健康診断で省略できる検査項目が増えることは冒頭で述べたとおりです。
以下が、医師が必要でないと認めるときには省略できる項目で、青マーカー部分が本年4月1日より適用される予定です。
・20歳以上の者に対する身長の検査
・次に該当する者の胸囲の検査:40歳未満(35歳は除く)、妊娠中等、BMIが20未満、自己申告でBMI22未満
・40歳未満(35歳は除く)の貧血検査・肝機能検査・血中脂質検査・血糖検査・心電図検査
・胸部エックス線検査
・・・ただし、40歳未満(20歳・25歳・30歳・35歳は除く)で次の(ア)(イ)のどちらにも該当しない者に限って省略できる。
(ア)感染症法で結核に係る定期の健康診断の対象とされている学校、医療機関、社会福祉施設等の労働者
(イ)じん肺法で3年に1回のじん肺健康診断の対象とされている労働者
・喀痰検査
・・・上記の(ア)同様。これまでも、胸部エックス線検査で病変が発見されない者・結核の発病の恐れがないと診断された者 には省略可能でした。
なお、健康診断の省略という観点では、「パートだから」、「派遣だから」、「契約社員だから」、という理由で健康診断自体を省略することはできません。
立場・肩書きに関わらず、
・ 1年以上(一定の有害業務は6カ月以上)働く予定 で、
・ 所定労働時間が正社員の4分の3以上
の労働者であれば、正社員同様に定期健康診断を実施しなければなりません。
なお、2分の1以上なら実施するのが望ましいということになっています。