◆厚労省が調査結果を発表

 

近年、「ワーク・ライフ・バランス」の重要性が叫ばれていますが、「人口減少社会」が到来する中、労働者が仕事と家庭を両立して安心して働き続けることができる環境を整備することは、国にとっても企業にとってもますます重要な課題となっています。

 

先日、厚生労働省が民間企業に委託して実施した調査の結果により、仕事と家庭の両立支援(ワーク・ライフ・バランス)をめぐる現状等が明らかになりました。

 

 

◆現実は「仕事優先」が多数

 

この調査は「子育て期の男女への仕事と子育ての両立に関するアンケート調査」というもので、未就学の子を持つ男女(男性正社員、女性正社員、女性非正社員、専業主婦)を対象に実施され、4,110件の有効回答がありました。

 

仕事と家事・子育ての優先度の希望と現実をみると、正社員男性の58.4%、正社員女性の52.3%が「仕事と家事・子育てを両立」させたいと考えていますが、現実としては、男女ともに「仕事優先」(男性74.0%、女性31.2%)の割合が高くなっています。

 

 

◆帰宅時間の状況、女性の退職理由

 

また、帰宅時間をみると、関東圏の男性で夜9時以降に帰宅する割合が30.4%となるなど、男性の帰宅が遅い状況が明らかになりました。

 

妊娠・出産前後に女性正社員が仕事を辞めた理由としては、「家事、育児に専念するため自発的に辞めた」の割合(39.0%)が最も高く、一方で、「仕事を続けたかったが仕事と育児の両立の難しさで辞めた」(26.1%)と「解雇された、退職勧奨された」(9.0%)の合計が35.1%となっています。

 

 

◆制度の利用しやすさ、勤務形態、短時間勤務

 

職場の両立支援制度の利用しやすさでは、育児休業制度や子の看護休暇等について、女性のほうが男性より「利用しやすい」と答えた割合が高く、男性の方が「利用しにくい」と答えた割合が高くなっています。

 

夫の就労時間別に妻が希望する勤務形態をみると、夫の就労時間が長いほど妻の「短時間勤務・短日勤務」を希望する割合が高くなっています(夫の就労時間が「35時間以上40時間未満」の場合25.1%、「70時間以上」の場合43.7%)。

 

そして、短時間勤務で働いた場合の評価については、「どのように評価されるか知らない」との回答割合が、男性38.6%、女性31.8%と高くなっています。

 

 

社会保険労務士法人 D・プロデュース