昨日(2007.10.15)、上司の暴言を原因とする労働者の自殺を初めて労災と認める判断を東京地裁が示しました。

 いわゆるパワーハラスメント(職権を利用した嫌がらせ)などによるメンタルヘルス不全を引き起こした労働者がうつ病を発症したり、最悪の場合には自殺するケースがここ数年急増しています。

 上司の言動がパワーハラスメントに該当するかの判断は非常に難しいところです。しかし、それらが指導上の範囲であると相手に受け止めれるかどうかは、普段のコミュニケーションがどのようであったかが重要なのではないかと思います(信頼関係とも言えるでしょう)。

 しかし、今回のケースの「お前は給料泥棒だ!」、「存在が目障りだ!お願いだから消えてくれ!」などといった言葉は、指導上の範囲を超えています。そこに信頼関係は見てきません。

 メンタルヘルス不全の原因は、仕事のみならず、家庭問題、健康問題、その他様々ありますが、その多くは人間関係によるものです。そして企業は職場の人間関係を含めた労働環境に十分な配慮をしなければなりません。

 企業は人なり、と言われます。企業の成長にとって人材は最も重要なものの一つであり、優秀な人材を継続して確保することが重要です。また、人を大切にしない企業は一時的に発展することは出来ても、継続的に発展していくことはできません。 

 メンタルヘルス問題で実際に苦しんでいるのは当の本人ですので、最終的には本人の問題となります。しかし、その原因を作った側の責任もあるわけですので、回復に向けてできるだけ支援し、再発を防止する手立てを講じる必要があります。

 益子

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