大企業を中心に、そしてまた業界別に「景気は回復傾向にある」と言われてから数ヶ月が経ちますが、景気回復の実感がないという方はまだまだ大勢いるようです。
特に中小企業の経営者の方々は、本当に景気が回復しているのかさえ疑問に思われているのではないでしょうか?
このような経済情勢下において、コスト削減(特に人件費削減)に着手しようとお考えの経営者が少なからずいらっしゃいます。もちろん企業存続のためにです。
さて、今回は「就業規則には賃金カットに関する取り決めがないのに、業績不振を理由として社員の給料を一律カットすることができるのか?」というお話しです。
結論から言うと、会社が賃金カットをすることは認められません。このケースの場合では就業規則等に定めがないので当然にできませんが、仮に就業規則等に「賃金の減額事由」の定めがあった場合でも、その減額事由に該当せずに、また社員の同意なしには賃金カットはできないとお考えください。
しかし実際のところは、人件費の抑制に手をつけなければならない事があると思います。その場合には、まず会社が社員に賃金カットの必要性を丁寧に説明し、納得してもらうことが先決です。合理的で正当な理由があったうえで、正しい手順で進めることがトラブルの防止になります。会社には特に慎重な配慮が必要です。