我々もビジネスにプライベートによく利用する航空会社である日本航空(JAL)は、経営再建を進めてている最中です。その日本航空の労働組合が「社内預金の導入」を会社側に提案しているとのニュースが新聞に取り上げられていました。

 会社が社内預金を行う狙いとしては、従業員の福利厚生目的としてのほかに、その資金をもとに設備投資を行ったり,銀行に預けることで,銀行借入の際の実効金利を引き下げることが挙げられます。

 今回の場合は、集まった資金を社債の償還資金に使い経営再建に役立てようというのが狙いのようです。しかし、日本航空には現在8つの労働組合があり、その中の最大規模の労働組合は含まれていないとのことなので、社内預金が実際に導入されたとしても、どの程度の資金が集まるのか不安は残ります。

 社内預金は任意貯蓄の一つで、その他には「通帳保管」がありますが、それぞれ共通して行わなければならない措置が次のものです。

 1、貯蓄金管理協定を締結し、所轄労働基準監督署に届出すること

 2、貯蓄金管理規程を作成し、労働者に周知すること

 3、貯蓄金の返還請求があったときは、遅滞なく返還すること

 上記1の「貯蓄金管理協定の締結および届出」を怠ったとしても、労働基準法上の罰則はありません。ただし、この要件を満たさないまま預金の預け入れをすると、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」にも違反することとなり、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金という厳しい罰則がありますので、導入の際には忘れず行うことが必要です。

 また、社内預金には、最低金利(現在は年0.5%)が決められていますが、一般には市中金融機関のものよりも高い金利でないと、預金は集まりにくいでしょうし、、会社には金利負担が経営を圧迫してしまうというリスクもあります。

 

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