現職の社員のみならず、退職後に顧客リストなどを持ち出して、そのリストを利用して営業活動を行うという問題が発生しています。

 これはモラル的にも許されがたい行為であるばかりでなく、刑事的にも犯罪(窃盗)となる可能性を多く含んだ行為といえます。民事的には、会社がその行為によって顧客の信用を失って取引の減少を招いてしまったのならば損害賠償も可能でしょう。

 現職社員ならば、懲戒解雇を含む制裁を科すことになりますが、すでに退職してしまっている社員に対しては就業規則に基づく制裁を科すことはできませんね。そのような問題への事前対処法として今回は退職金の扱いについて考えてみたいと思います。

 退職金などは懲戒解雇の場合には不支給とする扱いを就業規則や退職金規程などに盛り込むことが必要です。そして退職後に不正が発覚して懲戒解雇事由に該当するなどした場合には、退職金の返還させるとも記載しておきましょう。これらの条文を記載していない場合、たとえ後日に不正が発覚しても不支給処分をすることが難しくなることもありますので注意し下さい。

 また、そのような問題が発生してしまったら、会社は再発防止策をとることと会社側の不正を憎む姿勢をはっきりアピールすることも忘れてはなりません。退職後に発覚したとしても、「退職後に発覚してのではあるが、○○のような不正をしたためにAを社内的に懲戒解雇扱いとする。」という通知を全社員にします。

 顧客リストの持ち出しを防止する策としては、情報管理規程を作成して「外部に顧客リストなどの社有情報を持ち出さないこと」、「同じく、プリントアウトして持ち出さないこと」、「同じく、インターネットを通じて社内以外の端末に送らないこと」などと、具体的に規定しておくことが重要です。

 そして、規定して終わりとすることなく、その規定内容を全社員に配布するなどして浸透させねばなりません。これをしなければ、何の効果もありません。

 それでも、発生を防止できないという場合は、パスワード管理を行うなどシステム的に予防するほかないでしょう。

 やはり、問題が発生する前に対策をしておくことが何よりも重要です。

 

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