最近、労働基準監督署の検査対応(メインは残業代の問題)によるご相談や賃金不払残業に基づく労使トラブルのご相談が増えております。

 この相談はともにテーマが「賃金不払残業(いわゆるサービス残業)」ですので、今回は行政側の指針をご紹介したいと思います。

 その前に賃金不払残業とはどのようなことを言うのでしょうか?

 賃金不払残業とは、所定労働時間外に労働時間の一部又は全部に対して、所定の賃金又は割増賃金を支払うことなく労働を行わせることを言います。いわゆるサービス残業のことです。

 この賃金不払残業に対して、労働基準監督署の是正勧告(支払い命令)がなされると、通常3ヵ月〜6ヵ月程度さかのぼって支払うことになります。

 また、割増賃金(残業代)の計算方法が法律違反しているケースも良く見られます

 就業規則の賃金規定で、会社の実態にあったルールを明確にし、労働時間の短縮や変形労働時間制・みなし労働時間制を利用することにより、時間外労働時間(残業)を短縮する工夫が必要になってきます。何をどのようにすればよいか分からない場合は、ぜひご相談ください。

 行政の指針は、下記のとおりです。ご参考にしてください。

〜賃金不払残業の解消を図るための指針(平成15.5.23 基発0523004号)〜

 <主旨>

 賃金不払残業(所定労働時間外に労働時間の一部又は全部に対して所定の賃金又は割増賃金を支払うことなく労働を行わせること。以下同じ。)は、労働基準法に違反するため、あってはならないものである。

 このような賃金不払残業の解消を図るためには、事業場において適正に労働時間が把握される必要があり、こうした観点から、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき基準」(平成13.4.6 基発339号 以下「労働時間適正把握基準」という)を策定し、使用者に労働時間を管理する責務があることを改めて明らかにするとともに、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置等を具体的に明らかにしたところである。

 しかしながら、賃金不払残業が行われることのない企業にしていくためには、単に使用者が労働時間の適正な把握に勤めるに止まらず、職場風土の改革、適正な労働時間の管理を行うためのシステムの整備、責任体制の明確化とチェック体制の整備等を通じて、初めて賃金不払残業の解消が図れるものと考えられる。

 このため、本指針においては、労働時間適正把握基準において示された労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置等に加え、各企業において労使が各事業場における労働時間の管理の適正化と賃金不払い残業の解消のために講ずべき事項を示し、企業の本社と労働組合が一体となっての企業全体としての主体的取り組みに資することとするものである。

以上

 いかがですか?

 行政の指針をご紹介しましたが、皆さんにとっては「当たり前で分かっている」ことが多かったのではないでしょうか?

 しかしながら、労働基準監督署の是正内容では、いまだに「賃金不払残業問題」が非常に多いのが現実です。当たり前のことを当たり前にできていないのは、会社としてどこかに原因があるはずです。

 当社では、人事労務診断を行っています会社のリスク度を把握するためにも、ぜひご利用されてみてはいかがでしょうか?

 

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