先日読んだ本の中に、なかなか興味深い内容のものがありました。

 「ノルマ」について書かれていたのですが、ノルマとは「基準」、「労働の責任量」と定義されていますが、この言葉自体はロシア語なのだそうですね。

 旧ロシアでの拷問方法の中に、囚人にスコップを一本渡し、収容所の庭に山盛りにした土砂を、「十メートル左側にこの山を移動させろ」と命令するものがありました。

 囚人は何日もかかってこの山を少しずつ掘りかいて、左側へやっとのことで全部移し終えたことを報告すると、看守は「そうか。では、この山をまた元のところに戻せ」と命じ、これを何度も何度もやらせます。

 この作業をさせた囚人は、しまいには精神的疲労とストレスが積み重なって半狂乱になるのだそうです。

 人間は自分のやっていることがまったくの無意味なことであるとか徒労であるということを知ると、あえてそれを続けることに非常な苦痛を覚えるもので、この無意味な労働から逃れるために犯罪を自白する囚人は非常に多かったとのことです。

 この事を仕事に置き換えて考えてみると、仕事をする上でこの拷問と似たような状況が発生しないようにすることが必要ですね。

 全体(経営)と一部(自分の役割業務)との相関関係が見えにくいと、社員はある日現実感を失ってしまうかもしれません。そこにおいて課せられるノルマが無意味なものに思えてしまい、それが無気力や強いストレスとなって現れ、単なる強制されたものとして労働することになるかもしれません。

 そうした意味のない喪失感を防ぐために、多少の生産効率が落ちたとしても工場(業務)をいくつかのチームに分けて、それぞれが部品から完成までを担当するシステムを導入している企業もあるようです。これなら何かを確実に作った(やり遂げた)という成就感が湧くのだそうです。逆にあえて分業化・細分化を徹底し、生産効率性を追及する企業もあります。

 業界や職種によってはどちらが良いのかは微妙ですが、社員のモチベーション管理やメンタルヘルス対策が労務管理上の注目される今、ちょっと面白い内容の本でした。

益子