Ａ社では12年間勤務態度もよく、まじめに働いてくれたＢさんが平成１７年８月に無事定年退職することになりました。
会社の事務担当者Ｃさんが、退職手続きを始めようとしたその時に問題は発覚しました。
なんと、雇用保険の資格取得手続きがされていなかったのです！
そう１２年間誰も資格取得漏れに気づかずにいたのです。
担当者Ｃさん自身も２年前に入社していたのですが、給与計算時にしっかりとＢさんのお給料から雇用保険料が引かれていたので、資格の取得漏れなど夢にも思っていませんでした。
びっくりした担当者Ｃさんは、青ざめながら社長に相談したところ社長自身もびっくりという状態。そんなバタバタの中、この事実がＢさんの耳に入ってしまったのです。
Ｂさんは激怒し（当然ですね。）、「１２年間も必死にがんばってきたのに、退職後の失業保険がもらえないのか！」と社長に詰め寄ります。社長は困り果て、Ｂさんは社長の人格まで疑い始める始末です。
そんな中、当社へ社長から相談を頂きましたが、このケースは完全に会社の責任です。
当社としては以下の３点を提案
��２年間遡って、雇用保険の資格取得手続きを行い、受給資格を確定させること。
��本来もらえるであろう１２年間勤務した失業保険の額との差額については、慰労金などの名目で、一括でＢさんに支払うこと。
��当社立会いの下、社長自身が誠実にＢさんと向き合うこと。
結果、Ｂさんは社長に悪気はなかったこと、自分に不利益がないことを理解してくれて事なきを得ました。
今回のケースの労働トラブルは、お金の問題よりも精神的なダメージが大きいですね。社長もこのトラブルが解決するまでは、気分が優れることは無かったようです。
しかし、労働トラブルの中身によっては、その補償金額が莫大なものになりかねません。そしてトラブルが発生した後の対応では、余計なコストも労力もかかってしまします。
現在の社会情勢では、労働トラブルを完全に撲滅することは不可能かもしれません。重要なことは、会社の被害を最小限にするため、また、出来る限り未然に防ぐために普段からリスクを把握し、労務管理の重要性を意識することです。
社会保険労務士法人 D・プロデュース
