2010年11月
2010年11月30日
平成21年度労働者派遣事業報告の集計結果が出ています。
派遣元事業所の事業運営状況(同年度合計)が公表されました。
1.派遣労働者数
(1)一般労働者派遣事業
・常時雇用労働者 65万9970人 (対前年度比 21.9%減)
・常時雇用以外の労働者(常用換算) 61万4738人 (〃 23.8%減)
・登録者 206万756人 (〃26.7%減)
(2)特定労働者派遣事業
・常時雇用労働者 29万8795人 (〃29.3%減)
2.派遣先件数
(1)一般労働者派遣事業 80万2928件 (〃31.8%減)
(2)特定労働者派遣事業 9万9007件 (〃0.2%増)
3.年間売上高
(1)一般労働者派遣事業 4兆7328億 (〃21.3%減)
(2)特定労働者派遣事業 1兆5727億 (〃11.4%減)
4.派遣料金(8時間換算)
(1)一般労働者派遣事業 1万4490円(平均) (〃 11.4%減)
(2)特定労働者派遣事業 2万913円(平均) (〃 10.4%減)
5.派遣労働者の賃金(8時間換算)
(1)一般労働者派遣事業 1万173円(平均) (〃9.6%減)
(2)特定労働者派遣事業 1万3505円(平均) (〃10.5%減)
2010年11月29日
サービス残業の是正結果が発表されました。
労働基準局が、昨年平成21年度の
賃金不払い残業(サービス残業)の是正結果のまとめ を
発表しましたのでお知らせいたします。(平成22年10月21日)
残業に対する割増賃金が不払いになっているとして是正指導された事案のうち、
1企業当たり100万円以上の割増賃金が支払われた事案の状況は次の通りです。
・是正企業数: 1221企業 (前年度比 332企業の減)
・支払われた割増賃金合計額: 116億298万円 (前年度比 80億1053万円の減)
・対象労働者数: 11万1889人 (前年度比 6万8841人の減)
・割増賃金の平均額:
1企業当たり 950万円
労働者1人当たり 10万円
・1000万円以上の支払い状況
企業数 162企業 (全体の13.3%)
支払われた割増賃金の合計額 85億1174万円 (全体の73.4%)
・1企業での支払額 (上位3社)
(1位)12億4206万円 (飲食店)
(2位)11億561万円 (銀行・信託業)
(3位) 5億3913万円 (病院)
都道府県労働局や労働基準監督署には、労働者や家族の方からの長時間労働や賃金不払い残業(サービス残業)に関する相談が多数寄せられているようです。
厚生労働省でも賃金不払い残業解消のための取り組みが、今後も続くでしょう。
2010年11月24日
変形労働時間制の導入について〜 1箇月単位の変形労働時間制
当社によく寄せられる相談のひとつとして、労働時間管理についてがあります。
そこで今回は、変形労働時間制のひとつである、「1箇月単位の変形労働時間制」について解説します。
☆ なぜ必要?
労働基準法では、使用者は労働者に、休憩時間を除き1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならないとしています。(この40時間、8時間を法定労働時間といいます)
そうすると、たとえば、月末は業務量が多く、月初は少ない、というような場合、月末は割増賃金の支払いが発生するのに、月初は手待ち時間がある、というように使用者にとっては効率良く働かせることができません。
そこで、一定の条件のもと、特定の期間を平均して法定労働時間を超えなければ、期間内の特定の日または週において法定労働時間を超えて労働させることができるしくみとして、「変形労働時間制」があるわけです。
☆ 変形労働時間制の種類
次の3種類があります。
1.1箇月単位の変形労働時間制 (労働基準法 第32条の2)
2.1年単位の変形労働時間制 (同法 32条の4)
3.1週間単位の非定型的変形労働時間制 (同法32条の5)
これらのほかに、フレックスタイム制 (同法第32条の3)もあります。
☆ 「1箇月単位の変形労働時間制」の導入手続き
1箇月単位の変形労働時間制とは、1箇月以内の一定の期間(変形期間)を平均して、1週あたりの労働時間が40時間以下(特例措置対象事業は44時間以下)の範囲内であれば、特定の日や週について1日および1週間の法定労働時間を超えて労働させることができる制度のことをいいます。
1箇月単位の変形労働時間制を導入するためには、就業規則その他これに準ずるものに定めるか、または労使協定を締結することが必要です。
(1)就業規則等に定める場合
・常時10人以上の労働者を使用している事業場の場合・・・
就業規則の作成義務がありますので、この制度を導入する場合は、就業規則にその旨を記載することが条件となります。
そのほか、次の事項も必要となります。
−変形期間中の労働日と各日の労働時間を明示、労働者に周知する。
−変形期間の起算日を明示、労働者に周知する。
−就業規則(変更)届を所轄労働基準監督署に提出する。
この手続きを行えば、労使協定の締結、届出は不要となります。
・常時10人未満の労働者を使用している事業場の場合・・・
就業規則の作成義務がないので、それを作成していない場合は就業規則に準ずるものに定めることになります。
この場合でも、就業規則と同様に、労働者に周知することが必要です。
(2)労使協定を締結する場合
労使協定には次の事項が必要となります。
−労使協定に変形期間とその起算日を記載する。
−変形期間中の各日および各週の労働時間を記載する。
−協定の有効期間(期限)を記載する。
−作成した労使協定を労働者に周知し、所轄労働基準監督署に提出する。
常時10人以上の事業場の場合は、労使協定を締結するだけでは足りず、就業規則にも定めが必要となりますので、ご注意ください。
社会保険労務士法人 D・プロデュース
2010年11月22日
短時間勤務制度の導入が義務に〜改正育児・介護休業法より〜後編
前回に引き続き、改正育児・介護休業法による短時間勤務制度の導入についてご案内したいと思います。
☆制度を利用するための手続き
制度利用の手続きに関しては、法令では定められていません。
ですので、事業主が独自に定めればよいのですが、利用する労働者にとって過度な負担にならないよう配慮が求められます。
例として、育児休業の申し出と同様に、1ヶ月前までに申し出なければならない、とすることは問題ないと考えられます。
一方、利用期間を1ヶ月単位とすることは、他の制度が法令に基づいて基本的に労働者の申し出た期間で適用されることを考えると、適当でないと言えるでしょう。
☆対象可否について補足
・「1日の所定労働時間が6時間以下の労働者」については、本制度の対象から除かれますが、1ヶ月または1年単位の変形労働時間制が適用される労働者については、変形対象期間の平均ではなく、すべての労働日の所定労働時間が6時間以下でなければなりません。
・「業務の性質また業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者」も労使協定があれば対象から除外できることになっていますが、指針において例が示されています。
あくまでも例ですので、除外するかどうか労使の話し合いよります。
協定で定める場合には、除外する業務が困難と認められる業務なのかどうかが客観的にわかるように、業務の範囲を具体的に定めることが必要です。
また、これにより、除外された労働者に関しては、申し出に基づいて育児休業に準ずる措置またはフレックスタイム制、始・終業時刻の繰上げ・繰下げ、事業所内保育施設の設置運営など、労働者の働きながらの子育てを容易にする代替措置を講じなけれならないとされています。
社会保険労務士法人 D・プロデュース
2010年11月19日
短時間勤務制度の導入が義務に〜改正育児・介護休業法より〜前編
本年6月30日施行(常時雇用労働者が100人以下の企業は平成24年7月1日施行予定)の改正育児・介護休業法より、短時間勤務制度の導入が義務になりました。
これまでは・・・
3歳に満たない子を養育する労働者が働きながら子の養育を行う時間を確保するため
事業主は以下から少なくとも1つを選択して導入すればよいとされていました。
・所定労働時間の短縮 (短時間勤務制度)
・所定外労働の免除
・フレックスタイム制
・始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ
・事業所内保育施設の設置運営
今回の改正からは・・・
3歳に満たない子を養育する労働者であって現に育児休業をしていない労働者が希望すれば、
原則として短時間勤務制度を利用できるようにしなければならなくなりました。
☆対象から除外できる労働者
次の労働者はこの制度の対象から除かれます。
1.日々雇用される労働者
2.1日の所定労働時間が6時間以下の労働者
労使協定があれば次の労働者も対象から除外できます。
3.当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
4.1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
5.業務の性質または業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者
☆短時間勤務制度の内容
短時間勤務制度は、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むものとしなければなりません。
・「原則として6時間」・・・たとえば所定労働時間が7時間45分の場合には、2時間短縮して5時間45分とすることを想定し、「5時間45分から6時間まで」を許容するという趣旨です。
・「6時間とする措置を含むもの」・・・1日の所定労働時間を6時間とする措置を設けた上で、そのほかにたとえば1日7時間とする措置や、隔日勤務などで所定労働日数を短縮する措置などを合わせて設けることも可能であるという趣旨です。(労働者の選択肢を増やす意味で望ましいものとされています)
≪後編は、制度を利用するための手続きと制度対象者についての補足です。≫
社会保険労務士法人 D・プロデュース
2010年11月17日
「名ばかり管理職」訴訟が和解
少し前の話題ですが、解散した派遣会社「グッドウィル」で、
管理監督者の実態がない「名ばかり管理職」に残業を支払っていなかったとして、
元支店長17名が未払い残業代など7000万円の支払いを求め訴訟を起こしていた件で、
平成22年10月5日までに東京地裁で和解が成立しました。
残念ながら和解の内容は非公開となっていますが、
原告側によると、元支店長らには、労働基準法上の「管理監督者」として認められるべき
権限―出勤・退勤時間の自由裁量や部下の賃金決定など―がなく、
原告側の、「管理監督者」には当たらないとの主張を会社側が認め、
確認できた残業代を全額支払うことで合意したようです。
名ばかり管理職の問題は、一時期ほど大きく報道されることはなくなりましたが、全国でたくさんの問題は残っており、解決できている案件はまだまだ少ない状況ではないでしょうか。
今後も注目してみていくことが必要になります。
社会保険労務士法人 D・プロデュース
2010年11月15日
就業規則説明会の様子 【岡谷セイケン株式会社様】
こんにちは。マネージャーの益子です。
現在、弊社クライアントの岡谷セイケン株式会社様の就業規則改定作業を進めさせて頂いております。
こちらの企業様は、本社を横浜市金沢区に置き、長野県岡谷市と秋田県十文字市、海外ではベトナムに工場を構え、自動車用部品や電子機器用部品などの精密部品の量産的な生産を行っていらっしゃいます。
http://www.okaya-seiken.co.jp/index.html
この度、「新しく改定する就業規則の内容説明」と「社内ルールの確認」を目的として各事業場の従業員の皆様へ説明に、岡谷工場と秋田工場に出張してきました。
普段はあまり就業規則を見ることのない従業員の方も多いと思いますが、労働ルールや福利厚生制度を含めて今回改めて会社の制度を確認できる機会を設けることができて良かったのではないかと思いました。
岡谷工場は、以前は本社として機能していた場所で、現在は30名程の従業員の皆様が働いています。
長野県は紅葉が綺麗な季節でした。
24時間生産体制の工場内の様子です。会社の歴史を感じながら見学させて頂きました。
(左)小松充明社長 (中)益子 (右)小松弘和会長
説明会に御同行頂いた総務課の青田様(右)
秋田工場は、岡谷工場よりも広い敷地でした。50人以上の方が24時間体制で働いていらっしゃいます。
秋田工場入口の前で
(左)増田部長 (中)小松充明社長 (右)益子
増田部長(左)と一緒に
ひとつの広い敷地に2か所の現場で最新式機械が設置されています。工場内は清潔できれいに整備されている印象を持ちました。
説明会の様子です。新旧比較表を使いながらプロジェクターで説明させて頂きました。
会社はその経営活動を通じて利益を追求し、その利益の一部は賃金として労働者へ還元します。いわば、会社は利益を維持、向上させることで、労働者に賃金を支払う義務と責任があるわけです。
会社がそのような経営活動を安定的かつ継続的に行うためには、就業規則で会社および労働者の義務と権利を明確にし、就業上のルールを定めていくことが労務管理上必要になってきます。また、就業規則には、会社と労働者、さらには社員間の認識のズレを修正する役割もあります。
今回の就業規則改定にあたっては、岡谷セイケン株式会社様は、周知作業を現場任せにすることなく、社長自ら各工場に足を運び直接従業員と向き合っていらっしゃいます。その行動とお人柄に今後の会社の成長を感じることができた2日間でした。
社会保険労務士法人 D・プロデュース 益子